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絵のなかのふたり
ブリヂストン美術館では現在、「絵のなかのふたり」という企画展を開催中です。
1.恋人たち 2.ふたりの物語 3.母と子 4.アトリエの作家とモデル 5.ペア
という5つのコーナーに分かれています。
絵のなかのふたり_a0025910_145130.jpgこの企画展で印象に残った絵があります。一つはシャルル・モーラン『母と子』。ふとノーマン・ロックウェルを思い出しちゃったんですよね。ノーマン・ロックウェルの方がユーモアがあるけれど、古き生活って感じが似てる気がしたんですよね。モーランの『母と子』は女の子の雰囲気がいいなと思ったのですが、ちょっと母に疲れを感じるかな?母の衣服のシワの影や、髪のがすこしまとまっていない感じがそう感じさせます。その点、女の子は影もなく白い肌、髪もキレイに乱れずにまとまっていて輝きがあります。女の子は希望に満ちた存在といった印象を受けました。
絵のなかのふたり_a0025910_1455576.jpgもう一つ気になったのはマリー・ローランサン『二人の少女』。ローランサンの絵はパステル調で女性好みだという印象だけだったのですが、この絵の解説のところに、正確な説明は覚えてないのですが「二人の少女のあやしげな雰囲気にはローランサン自身の趣味があらわれている」といったような内容のことが書かれていたんです。「えっ!そうなの?」と驚き、また女性受けするように書かれているだけかなぁと思っていた作品も、画家自身のそういった背景で絵の作風もテーマもなるべくしてなっていったのだろうと、すごく興味をもったんです。ローランサンについて少し調べてみたら、彼女の人生は切ないものだったんですね。光り輝く時代がありながらも亡命、鬱、同性愛、離婚といろいろ経験しています。いずれ、ローランサンの人生についてブログに書いてみたいなぁ。ローランサン展があったら、是非行きたい。今、すごく行きたいです。ローランサンの人生に沿って、作品を見比べてみたいなぁ。『二人の少女』は今までとは全く違う見方ができるだろうと、ローランサンに興味をもつきっかけとなった絵となりました。



石橋氏が美術品を集めだしたのは戦後で、一つずつ海外から買ってくるというよりは、日本人コレクターが戦後、美術品を手放すのを丸ごと購入したり、譲り受けたりしたものが元になっているそうです。
今回のギャラリートークはルオーとマティスについて。ブリヂストン美術館にあるルオーの作品は、日本人実業家・福島繁太郎氏のコレクションだそうです。

ルオーとマティスは共に国立美術学校でギュスターブ・モローに学んでいます。マティスの場合は不合格だったのですが、学校の中庭で絵を描いているところをモローに見込まれて、授業を受けるようにすすめられたと、前回のギャラリートークでうかがいました。
絵のなかのふたり_a0025910_262314.jpgジョルジュ・ルオー(Georges Rouault)
パリ在住の日本人の福島繁太郎という人物が、ルオーの絵をたくさんもっているという噂がルオー本人の耳に入り、ルオー自ら電話で福島氏に家に行きたいと告げる。そこから交友が始まるのですが、ルオーは福島氏の所有する自分の作品に加筆をしていきます。福島氏の著書によると、ルオーはエキセントリックな人で、作品に加筆をしてうまくいく場合もあれば、逆に失敗してしまうこともあり、失敗するとその絵を滅茶苦茶にしてしまったんだそうです。それではたまらないと、福島氏はルオーが加筆したがりそうな初期の作品を 、ルオーが見つける前に隠したりしたそうです。ブリヂストン美術館に無事に隠されていた初期の作品があり、水彩画のような滑らかなタッチで描かれているのがわかります。しかし、その後の作品はプルシアンブルーを塗った紙の上にボテッと他の色の絵の具をのせ、乾いたらヘラなどで削っていくという描き方になっているため、絵の表面もデコボコしています。この『ピエロ』も表面がデコボコしており、ところどころ下地のプルシアンブルーが見えます。ヘラで削る際に、下地がでてきてしまったようです。

絵のなかのふたり_a0025910_272455.jpgマティスは同じ形を反復させて描くことが多い。この『青い胴着の女』に関しても椅子の手のカール、髪のカールなど反復させている。この絵は早描きに見えて、実は3週間はかかっているものです。マティスは批評家から簡単な絵を描くという批判をうけ、自分の絵が出来上がるまでの製作過程を写真で残すことにし、それを公開してどれだけ熟考をし、描き直して完成させているかを証明してみせたのです。この絵も当初は写実的で、背景の壁紙の絵などがあったのですが、最終的にはなくなっています。修正の跡が人物の肩や椅子のあたりなど、あえてそのままわかるように残していたりもします。それらの、写真と一緒に絵を展示することを、教育的展示と呼び、後に続く若者い画家達への為に、そういった展示方法をとっていたそうです。
by pocoli | 2005-07-26 23:28 | 美術展など
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